ホームレスさん拾っちゃい…(3)

(旧mixiより抜粋)
ホーム(レス)キーパー日記№3 こちらのつづき

一昨日、おなじみの下北沢のBARグランテカールさんに行ったら、
「その後、ホームレスの人はどうなった?」と訊かれて、

もう日常の一部となっているので、特筆事項もなく…と思っていましたが、気まぐれで軒下を貸しただけの薄めな関係ではなくなっているので彼女について記します。

゚・*:.。. .。.:*・☆テルちゃん白書☆

昭和19年、私の実母と同い年。64歳。ときどき乾いた咳をされるけれど、体は丈夫にみえます。

長年、病弱な妹さんの世話⇔会社勤めの日々に追われ、婚期を逃した挙句、「治ったら一緒に住もう」と約束していた妹さんはガンで亡くなりました。

同時に、事務職をつとめてた塗料会社が倒産し、ぷつんと心の糸が切れてしまったそうです。

失意のまま親戚の家に身を寄せたけど、 鬱状態で、家事もままならない彼女は疎まれたらしく、追い立てられるようにその家を出たのが3年前。

狭いフィールドで生きてきたので、神経内科に行くという発想もなかったそうです。「わたし馬鹿だから」って言うけれど……

彼女はいちおう、少々のお金を所持して旅立ったのですが、ホームレスになって2年目、東急東横店付近で現金数十万円と通帳を入れたバッグごと盗まれたそうです。

事情を探られたくなくて、警察には行かなかったそうです。

* * *

いつも優しい物言いの彼女ですが、注意されたことがひとつあります。

「私はホームレスっていうか、”フリー“なんです」って。

フリー…。

確かに、そのとおりですね。

* * *
週1回、夜9時過ぎに来てくれます。9時5時OLです。 やっぱりスメルは薄まらないので、いらした瞬間、私が衣服を全部はぎとって洗濯。彼女には風呂お掃除&食事&宿泊してもらいます。

起床後は、うちをくまなく掃除していただき、 お使いや軽作業もしてもらい、差額ギャラ2000~4000円をお支払いします。
渡したテレカで、毎週かならず出勤確認をしてくるので、励みにしてくれている…と思うけれど、

「しょっぱい家なのよ」とお仲間にボヤいてるのでは、とか、
週6日は他の家に通っているのでは、とか、ほんとうはお金持ち有閑マダムのホームレスごっこでは、とか様々な妄想をしてしまいます。

雰囲気が、浮世離れしているのです。

* * * 


今はすっかり馴染み、皆でごはんを食べたり、時折連ドラを見たりします。 堺正章さんに親しみをもってるようで、TVドラマ『無理な恋愛』を見てコロコロ笑っています。

「なんだか、擬似家族みたい…」と家人が言う。 私はいま、田舎の母にしてあげていないことを、他人様にしているのかな。

* * *

事務所で鉢合わせするときは、スタッフM嬢が「テルさん、おはようございます!」と元気よく挨拶をしてくれるので、とっても嬉しそう。

やっぱり昔気質の人なので、礼節を重んじるのです。 私が夜遅く出かけるときは、姿勢をただして見送ってくれます。
「こんな真夜中までお仕事、大変ですねえ…」

呑みに行くとは言えません。

* * *
テルさんの好物は海苔や山菜です。 ふきの佃煮を作ってあげたら、お鍋ぜんぶごと食べそうになりました。

「お料理、上手ですねえ」

そんなことないですよ。 ジーン。

No.4につづく

—–


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です