原宿のブックカフェ『シー モア グラス』さんでチッチ&サリー展が進行中のみつはしさんですが、
このたび、作家の山崎ナオコーラさんの新刊エッセイに、表紙の絵を寄稿させていただきました。明日から発売です。
ナオコーラさんといえば、
斬新なタイトルやペンネームで話題となったデビュー作…
ですが、内容は、19歳大学生男子と39歳女性美術講師の、恋愛とその喪失を描いた、私には朴訥な印象のあるものがたりです。
男子学生の臆病とかモヤモヤとかゆらぎとか、現実はそうそう合理的にはわりきれない…ことを、きっちり女性目線で描きったかんじが「新しい」と、評価されましたが、
たしかに、「19歳の男子らしく」、それっぽくガワから寄せていこうとしない感じが、誠実な書き手だと思いました。
◆
そんなナオコーラさんが出す、最新作エッセイ『かわいい夫』。
先にゲラを読ませていただいたら、描かれる夫君の様子が、かわいい…。
書店員さんである夫君に、何度かお会いしたことがありますが、御自身もたしかにかわいい。くるくる動かれて、フォトジェニックっていうか、エッセジェニック。書きたくなるのわかるなあって、ご本人に言っちゃったら、全然気を悪くされない感じで「てへ。そうですか」なんて、嬉しそうなのです。
個人的には、妻コーラさんが、夫をつい理詰めで口責めする時、にっちもさっちもいかなくなった夫が、じわっと涙を浮かべるというシーンに、感情移入しました。
あった あった。うちも、15年前は。
夫をじわっとさせたことが悲しくて自分も泣きたくなった、新婚時代。
今ではお互いどつきあっても、もうびくともしません^^。
◆
が、ナオコーラさんに触発されて、うちも「カワイイ夫」ぶりを一筆したくなりました。
一緒に仕事をしているので、うちは仕事と夫婦の問題が直結しています。
先日、運営している「談話室」の、お客様のご予約時間を間違えて、カギをあけないまま、
セミナー講師であるお客様をしめ出すという、やってはいけないことをやってしまいました。
管理人の夫、気づいて「やってもうたー」と泣きながら外に飛び出すと、
家の前で、ばったり、
愛らしい外国人ベビーシッターさんを連れた、小雪&松ケン夫妻とそのお子様たち‥
‥それはそれは優雅に、ゆっくり歩く、美しいご一家と出会ったそうです。
自分はと見れば、爆発したヘアに着古したスウェット姿に破れジャンパー姿で、なんかスーパーのビニール袋を持ってハアハアして…。
きっと、松ケンご一家は、どこかの庭師だと思ったんじゃないかと。
ますます「うわーん」と泣きたい気持ちになったそうです。
と、べそをかいて戻ってきた夫に、
「もう、やめてよー。そんな汚い恰好でうろついたら、松ケン一家に迷惑でしょ」
と、追い打ちをかける。
「だいたい、そんなポカするんだったら、私にカギと管理を預けなよ」
そうしたら、「アバウトなあんたに、そんなもん任せられるかー」と夫、絶叫。
これは彼なりに、管理仕事が苦手な私を気遣ってくれてるのね。とのんきに思う、、
かわいい夫の話、というより、自己申告制・鬼嫁日記なのですが。
そんなことを思い返させてくれる本書。
夫がかわいい人にも、かわいくない人にも。ご夫婦へのプレゼントにもおすすめ。ナオコーラさんらしい丁寧な筆致の一冊です。
ちなみに、若気の至りでつけたそのペンネームを、今は後悔されていると、本書に書かれていました。
ちょっと、噴きました^^。
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