本作り屋の独り言…スタジオポケット記-テル子失踪

 

(旧mixiより抜粋)
ホーム(レス)キーパー日記№6 こちらのつづき

このところ、テルちゃんが失踪して、とても焦っていました。

先日、私はちょっとキツく言い過ぎたんですよね……。

テルちゃんが、勇気を振り絞って、ようやく家族と連絡をとることができたので、 私も先日、はじめて彼女のお姉さんと電話でお話ししました。

お姉さんはなんというか、のらりくらりとしていました。

「テルさんが路上で暮らしてることは、ご存じでした?」
「いや、私どももビックリしたんですよ」
「今後、彼女を、お引取り…することはできそうでしょうか」
「いえーそれは。ちょっとうちも余裕がないし、テル子自身の意思もありますからね」

なんていうやりとりがありましたが、…それはまた別のお話で。

とにかく、テルちゃんの身の周りがぐぐっと動き出しそうなので、この流れで「ホームレスキーパーを集めたNPO」を設立しようと、性急になったかもしれません

彼女が59歳まで勤めたあげく、リストラされた会社名を聞き出して、
「じゃあ、その会社で保管してあるはずの履歴書を取って来ましょうよ」 と、たたみかけたのです。

テルちゃんは、「自信がない…」とちょっと涙ぐみました。
「だったら私が同行するから!」
「それはもっとイヤ…。自分が情けないから」

なんていうやり取りに、私はちょっとイラッとしてしまったのです。
しかし今までも、よく泣かれているので、あまり深刻に受け止めず、

「できなくっても、今までと変わらないのだから、マイナスなことは何もないじゃないですか」

なんて言って、送り出したのです。

ところがそれから、テルちゃんは出勤日もすっ飛ばして、連絡も来ない、

「まさか路上で倒れた?」って心配していたら、

10日以上してから「……」。公衆電話から、無言電話が掛かってきました。

「テルちゃん!テルちゃんでしょう? どんだけ心配したと思って。 履歴書はどうなったのっ」と思わず叫んだら、ガチャリと切られて、

それからまた1週間以上経っても音沙汰がない…。

・・・・。
いけないのはわたしだったのです。

少しずつ、世間に復帰しようとしている彼女に、わたしの思惑でコトを迫って、彼女の歩調に寄り添わなかった。

こんな時、こちらから連絡が取れない状況は、ほんとうに心許ないです。

どうしよう、どうしようと思いながら、彼女に貸してるノートPCを開けてみました。

今年の夏、初めてPCに触った彼女は、今はたどたどしい日記をかけるようになっています。人様の日記なんて見てはいけないし、晒してはいけない、わかっていますが、

(以下、原文ママ)

 

 

 

 

 

おはようございます
こんにちわ
こんばんわ
おやすみなさい

はじめまして
わたしのなまえは
にい○てるこです
64さいです
よろしくおねがいします

おはようございます
こんにちわ
こんばんわ
おやすみなさい

はじめまして
わたしのなまえは
にい○てるこです
64さいです
よろしくおねがいします

わたしのしゅみは
あいがをみること
こどものころから
えいがをみていました
ちかくになんけんもありました
いもうととみたあとにはなしながら
そのいもうとがびようきになつて
なくなつてから
えいがもみなくなりました

 

 

 

こんな日記を残して、てるこは消えてしまった。

どうしよう。

てるちゃん、ごめん。戻ってきて。

。・゚・(ノД`)・゚・。

No.7へつづく

 

 

 

 

 

 

 

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