「I dream my painting, and then I paint my dream.」
私は夢で絵を見ます、そして夢を絵にします。
ーーーVincent Willem van Gogh(フィンセント・ファン・ゴッホ)
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私は「夢」を大事に思ってます。
「dreams come true」でなく、Nightmareも含めた眠夢のほう。
先日、車内で仕事をしていたら、急に眠くなってしまい、うとうとしていたら、こわい夢を見ました。
―――和服を着たご婦人が、私を睨みつけ、罵倒しています。とても恐ろしい形相のおばあさま。
その取り巻きの3~4人の壮年女性たちも、私をごうごう非難しています。
私は足下から震えあがり、逃げ出したいのですが、右腕を何者かにしっかりロックされて、逃げられない。
しかし、思いきって老婆を睨み、一言、二言なにか言い返すと、老婆は私を睨みつけながら、突然へなへなと崩れ落ちました…。
目が覚めると、車内キッチンのシンクにうつ伏せになって、脂汗をかいていました。ひえー。これから大事なクライアントさんを施術するのに、ワキ汗びっちょり。
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初めて会うそのクライアントさんは、30代はじめの、化粧っ気のないすっぴん眼鏡。にもかかわらず、とても美しい女性でした。
彼女とは施術前からなんどもメールでやりとりをしていました。
何年間もずっと、幻聴、妄想など統合失調症に悩まされ、働くこともままならないとおっしゃる。
そこで、支援環境のある就職先を、ご提案したりしていました。
クライアントには、相性の合いそうなサロンやクリニックだけでなく、就職先や、ときには学校を紹介することもあります。
ですのでカウンセリング時に、私に仕事の内容や組織の人間関係など細かいことを聞かれ、
「???」ってなっている新規様も多いと思うのですが、マッチングのストックを増やしたいゆえ、お許しください。
タイムリーにも、昨年、とある医師たちの会に混ぜていただき、統合失調症に対するナイアシン投与の可能性について教えていただきました。
そこで、彼女のために、米国の会社から2種類のナイアシンを取り寄せておきました。残念ながら、日本製は品質が及ばないという。
そこまでする必要がある…? とも思いますが、かかりつけの主治医と合わず、新しい医院を探しながら、すでに減薬し、断薬も見据えているという彼女は、なんだか危なく思えたのです。
施術によって、薬が抜けてしまい、離脱症状が嵩じることもある。そんなときもサプリメントが下支えしてくれる可能性があるよと。
これを一介のセラピストが「処方」することはできませんが、友達として健康食品をプレゼントする、ということなら問題がないよ。
でも何かあったらすぐ医院に駆けつけるよう。
そんなことを教えてくれる変な医師たちとのご縁にも感謝しています。
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しかし、いざ彼女にお会いして、1時間かけてお話を聞くと、これは統合失調症ではないんではないか。
聞くだに、その人の生い立ちは、壮絶でした。
腕ききの職人・経営者であった亡き祖母から、しつけということで厳しく扱われました。
家族構成は祖母・母・自分だけで、どこにも逃げ場がない。
罵詈雑言、身体への暴力、つかまえられて無理やり髪を切られるなど…。
「そりゃ虐待だよっ」と思わず言ってしまったほどの、苦痛の連続。
彼女の幻聴や妄想は、統合失調症の症状ではなく、なにかの代償か自助現象ではないか。
すると、新しい医院でも「統合失調症じゃないのでは?」と言われ、カウンセリングを受けはじめたという。
でも私はプロではないから、そんな診たてを告げるわけにはいきません。
「……かもしれないから、これ、こうこう医師に聞いてみてください」
「……症状の可能性があるから、あそこの医師にもかかってみては」
まどろっこしい。
しかし、施術をしながら、おばあ様の風体や、生活スタイルを伺っていて、あっ!と気づいたことがありました。
私が、さきほどのうたた寝で見た、恐ろしげな老婆は、彼女の祖母だったのでは。恐る恐る特徴を聞くと、
合致。
そして「右側の腕をロック」していたのは彼女の母親の象徴のようでした。
東洋医学、望診術では「左」の領域は女性性をシンボライズすることが多いですが、彼女の場合は反転しています。
事前メールをなんども交わし、心を遣りとりするうちに、シンクロしてしまったようです。
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そもそも、症状が悪化し始めたのは、数年前に、ある瞑想的なセッションに参加したのが契機だったという。
精神内科医のひとりは、「変な所に繋がらないよう、そうしたスピリチュアルな会に参加しないように」と仰ったそうですが、
それはどうだろう。スピイベントそのものが危険なのではなくて、自分を
縛る所から抜け出そうとしたために、反動で起こった、膿出しの現象ではないか。
縛る所から抜け出そうとしたために、反動で起こった、膿出しの現象ではないか。
祖母の呪縛トラウマだけでなく、自分自身が、被害者としてのコンフォートゾーンに無意識に安寧をおぼえているので、超えようとすると、自罰を与えてしまうんではないか。(幻聴、妄想)
でも今、その扉があこうとしてる。
脱皮しようともがく彼女の目の前で、恐ろしい形相のおばあ様は崩れ落ちて消えようとしているのでは。
つまり今後も、自立しようとするほど、精神状態が悪化するような状態が、しばらく続くのでは。―――だとしても、あなたはやっぱり抜け出す努力をしたほうがいいと思う。
超えかけるたび、症状が悪化するというゲームのダンジョン。
でもきっと本当に超えられる時がくるのでは。
これ診立てじゃないよ、友人として聞いてね。
🕊️
私が、つらいうつ病の一年間を過ごしたのは、ちょうど彼女と同じ年齢でした。
赤い墨汁で「廃人」と書かれた半紙が垂れ下がった絞首台。恐怖の白昼夢の毎日で、体液漏れまくり。
「人生詰んだかな…」と思いました。でも今思えば、たかだか30代前半でした。
「そんなに若くて美しくて、動ける体があるんだから、これからなんだってできます!」 本心です。
忘れないでいてほしいのは、おばあ様がとても―――方法は間違ってたかもしれないけれど、孫を愛していたこと。
夢の中で、私(彼女)を睨みながら倒れたおばあ様は、私(孫)のことを庇護するつもりだったと、感じたのです。
こんな人間(私)が介入し、孫の自立をそそのかすなんて、おかんむりだったことでしょう。
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以上、「夢」がカウンセリングのツールになりうる小話でした。
幼少からほぼ毎日、フルカラーの詳細な夢をみていて、よく覚えています。
何かの予知夢とか、大層なものではないけど、
うつ病前後の数年間に、夢分析に関心をもち、目覚めたらノートにメモしたり、夢占い辞典を繰ったりするうち、
夢は精神状態を多大に反映するだけでなく、自分の意識以外の領域につながるのだなと、確信しました。
そんな20~30代に読んでいた本たちの多くは、もう絶版になってしまいましたが。
「本で勉強すること」が大事なんではなく、自分の夢を何百回も分析していると、現実の世界でも使える法則ができる。皆やっているのかもしれないけど…
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