憑いてるお医者さん

CS60の施術に、何人か医師の方がきてくれている。

医者の不養生というけれど、気の毒なほど疲れきっている人がいる。お疲れ様です…

その中に、いつもお守りや邪気よけグッズを、たくさん身にまとっている方がいる。

 

私は今、ご遺体をあつかう海外の解剖学DVDを視ていて、大量の血や臓器や体液や骨を眺めつつ、考え事をする毎日で、

 

人体にベーシックな畏敬をうしなったら人間として終わりだと思うけど、医療や施術のゾーンでは霊的なことを切り離すことが、病や死を尊重できる場合があると思うようになりました。

だから大量のお守りを所持しながら医療行為にあたるYさんに、すこしだけ不思議な気がしています。単純に不思議なだけ。切り分けていらっしゃるのだろうかと。

私もひとつふたつは身に付けています。クライアントの体のダメージに反応して動くものとか、そういうオカルトグッズを携帯し、毎日手入れしているけど。

 

しかしYさんのアイテムたちは、もう役目を終えたのか、手入れされていないのか、いくつかは機能しておらず、くすぶり、煙を吹いているように見える。

でも、そうお伝えしても、「あれ、このお守りはなんで買ったんだっけ…」と首を傾げていらっしゃるのは、おおらかなのかもしれない。

 

いつも柔和で、寡黙、かつ真面目なYさん。そのお体は、全体的に硬く、防御型であるので、あまりしつこく施術しないようにしていたのですが、

ある日、お守りの数がまた増えて、20個くらい首や腰に巻いてらっしゃるのを見て、「今日は深く施術してみよう」と、ふと思いました。

 


 

用心深く全身にCS60に当てていると、「それ」は小腸にありました。

腸の周辺に、筋膜の凝りや硬直のある方は多いけれど、たまに、そうでないような、逃げ回るニョロニョロのような、おかしな手触りを発見することがある。

「小腸は神殿の臓器」というけれど、なにか別のものも、潜みやすいのではないかな。

「それ」を見つけて、深く、じっくり、CS60を当てていると、異変は起こりました。

 

「ぶもっ ぶふふっ どうふ どうふっ ごぼ ごぼ …っふっ うぶぶ」

 

それまで、すうすうと静かに息をしていたYさんの口から、Yさんの声でないような、寝言でも、いびきでもないような、鳴き声のような音が漏れはじめました。

 

 

あ やっぱり。なにか、いる。

 

 

私は、とっさにYさんのおなかに突っ伏してしまいました。

 

笑いというと不謹慎かもしれないけど、子どもの頃に、お葬式で噴き出したことのある人にはわかると思う。

 

それは「霊に畏敬の念を持ちなさい!」ということとは別次元の、おかしみのある音声だったのです。

 

あと、医者×霊というのも、不思議なおもしろみを感じてしまった。

僧侶×ジャンキー、のような。戦国武将×ビキニのような。王様×越中ふんどしのような。案の定のような、そうでないような。

 

しかし真面目を取り戻し、Yさんの喉元にCS器具を当てた私は、今度は、飛び上がりました。

 

「+GL‘+(*IP‘+kjバイキンくんn.#“$%&I‘!!!!!()=~{‘PRD”!#$)‘IP‘{_P‘O?>U<IYG<!!!!!L>Y}P‘OYバイキンくん5M+KM<>?_TYD**G>H?L+_L46*Y%I’O()*+‘IJKおばけくんN+?<*“W#$YE%!!!!!!」


 

それは、

 

地球上の、どんな国の言語でもないような、古今東西、どの文化にもないような、非常に不思議なものでした。

 

約7秒ほど続いて、さすがに、長いなどうしよう…と思ったとき、音声はピタリとやみました。

 

同時に、空気の色調がさーーーっと変化し始めたように感じて、背中がゾクゾクして、とっさに柏手をうち、天に向かって祓いました。

しかし自分が祓えたのは空気だけで、その音声の「元」は、まだYさんのおなかに居るのがわかりました。

 

そうっとタオルをとってみると、Yさんは、いつもと変わらず、穏やかな顔ですうすうと眠っているではありませんか。

 

それが逆に怖くなり、最後のパートを急いで仕上げ、Yさんを起こした私は、何と告げたらいいか、しばし考えた末、申しました。

 

「あの、Yさん。なにかが、憑いているかもしれません。私の施術では対処しきれないようです」

 

すると、起き上がったYさんは、目をぱちくりして言いました。

 

「あ、出ちゃいましたか。早く言えばよかったですね。ぼく、憑いてるんです」

 

てへ、みたいな表情でYさんはおっしゃいました。

 

「エネルギーワークをしたり、こういう施術をされて朦朧としたりすると、出ちゃうんです。今まで、いろんな先生たちに、推測されたんですけど、どうやら、おなかの中に、地球外生命体の霊がいるみたいで」

地 球 外 生 命 体

そりゃあ地球内の霊がいるのだから、外にいるのは当たり前で。私たち地球人も「宇宙人」なわけで。

でもまさか施術中にそういうものと遭遇するとはおもわなくてちょっと情報整理が追いつかないというか。

「地球外って……。どういうのですか」

 

「はあ。なんか、トカゲみたいな宇宙人らしいんです」

 

恐竜くん

レ プ ?

 

「トカゲ…。ですか。大丈夫なんですか、そういうの、おなかに入っていて」

 

「いやあ、おなかを蹂躙されて大変な状態らしいんだけど、とりあえず、ふだんは出てこないので、何となく、このまま暮らしていて……」

 

「暮らす……。共存……?」

 

「はあ。まあ、そんな感じで」

 

出べそを見られた、くらいの表情でYさんはおっしゃいました。

 

その表情を拝顔しているうちに、あまり追求するのも、どうかなと思いました。

ご本人がそのままでいいとおっしゃっているのだから、いいんじゃないかな。

 

でも、大量の御守りを持ち歩いていらっしゃる訳は、そこにあるのかな。

なかなか霊とお別れしたいと思っても、別れることができないのかもしれない。いつか、双方が望むなら? 

剛腕の別れさせ屋が必要なのかもしれません。

 

恐竜くん

 

こんな大型キャラに遭遇することはあまりないけれど、ちょっとした邪気みたいな霊障は、ほぼ100%の人が持っているんだなーと、施術するたび感じます。

ただそこに当たり前のように「ある」ので、それを科学的だとか非科学的だとか論じるのもナンセンスなように思います。

 

霊=怖いから悪いからお祓い、ではなくて、こんなふうに「共存している」人々もいっぱいいるのかもしれない。できれば、お別れして独立したほうがいいんだろうけど。

そもそも、きれいさっぱり邪気も霊障もない清らかな人生って、おもしろいんだろうか。

 

こんなふうに、日々、自分の施術で起こることが、私にはどんな小説より映画よりミステリアスで、勉強したことが反映される科学であり、数学であり、またそんな法則から外れていることが、たまりません。

だから霊障が怖いなどと言っているひまはないんです。

ひまがないからこそ、謙虚に自衛しなくちゃいけないと思いますが…。

施術をはじめて、「霊」的なことへの認識が大きく変わったことは、まちがいありません。

 

 

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