財布が出てきて、マスコミに取り囲まれた。

先日、たくさんの方にご心配、慰労いただいた、財布紛失事件ですが、

出てきました・・・

交番に届けられたというお知らせが入りました。

え?

え?

え?

スリじゃなかったの? 

のこのこと、「中野警察署」に出向いたら、どどどどーーと、殺気立った、大勢の報道陣に取り囲まれた。




 何これ? え?

「あなたはスリに遭ったと言い、それでも心の広い自分をアピールして陶酔気味のブログを書いていましたが、このような結果になったことを、どう受け止めますか」

「え? え? え? いや…。だって警察の方もスリやってほのめかされたんで…。残留品の形跡から、そう思っちゃったんで」

「冤罪ですよ!! あなたの脳内架空スリへの冤罪ですよ」

「は…。はい、それは…たいへん申し訳ないことをしたと思います。でも架空のスリに対して祝詞まで唱えたんで、勘弁してくれませんか」

・・というやりとりが。あった、

わけは、

もちろんなくて、

「どいてどいて、邪魔―っっっ」と走り回っている100人ほどの報道陣は、

埼玉県で2年前に行方不明になり、ずっと監禁されていたらしい中1の女子。に関する重要参考人が出頭するとのことで、血眼になっておられたのだった。

パラパラパラと、大きなヘリを飛ばす新聞社があるかと思うと、
ひとりぼっちで写真をとり、ICレコーダーに喋りながら、LINE記事を書いている、手弁当の若い女子記者もいる。

遺失物の担当の刑事さんは、この騒ぎに、私の財布には気もそぞろ。

「はい、これですねー」
「あの、どこでこれ…?」
「署に届け出があったみたいですね」
「あの、どんな人が…?」
「あ? どうでしょう。調べます?」
「いえ。いいです。あのー。…これから、署に。事件の。誰かがやってくるんですが」
「あー。まあね、いろいろあるんですよ。うん」

という感じで、私の財布は無罪放免。なぜか名刺と塩がなくなっていたけど、それ以外は、お守り含め全部そろっていました。ふしぎだ。

日本って、やっぱり治安のものすごい国だったのね。世界の人々の「平均意識レベル」を200とすると日本人は400以上だという。意識レベルとは何を指すのかわかりませんけど、そうなんだ。

「日本で財布を落としたら本当に戻ってくるか」

日本の神様、おもてなしさま、おてんとさますみませんでした。

この経験で、
「金とか物とか、ある日急になくしても平気 えへへ」と、レベルを5くらい上げられた気がするので、今度こそ、違う形で、困っている人のために使えたらと思いますが、

私がのんきに、精神レベルを上げたつもりになっていたとき、
私のうしろで、非力な女子中学生が、命より大事なものをスられたりしている。

さっきの若い女性記者が、LINEを打っているのを後ろから覗きこんだら
「はんにんの男は・・・」と、もどかしそうに書いていた。

「はんにん」…。伝える方法は限りなくライトだけれど、その中身は重く捻れている。

治安のいい国、とか、また口当たりのいいことを書いている一方で、
私はこの2年間住んでいるマンションの左となりに住んでいる男性の顔を覚えていない。
右どなりの人とも、あいさつ以外の口をきいたことがないのである。

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