「僕は、これまで、たくさんの本を万引きしてきましたが、このものがたりを読んで、本というものを万引きしてはいけないと思いました・・」
というのは、これまで戴いたファンレターの中でも、みつはしちかこの心に 刺さっている一通だそうです。
そんな本を作ってみたいものだと、私達にも心に染みるエピソードです。
いや、そんな本を作れなくても万引きはしないでネ( ;∀;)
遅ればせながら11/20~24、渋谷・大盛道書店での『永遠のふたり チッチとサリー展』、ぶじ終えることができました。ありがとうございました。
出版元の学研さん、書店スタッフの方々、そして約650名の皆様のご来場のおかげで、温かいイベントとなりました。
かつての万引き少年…今は恐らく40、50代になられたであろう方も、ご来場されたでしょうか。
いえ、お客様たちはそれぞれ元・少年少女の顏で来場され、作品を手にとってらっしゃいました。
亡くなったお母さんの棺に「ちい恋」を入れたという男性、いつも心にはチッチが棲んでいる!とおっしゃった風俗業の女性、それぞれの手紙物語にあったように、『小さな恋のものがたり』もそれぞれの、読者のものだといつも感じます。
“ちい恋”ファンも50代60代70代となられ、スタッフとしては新世代にも物語をお伝えしたく、
デザインをリニューアルした「ブルーレーベル」的なものの構築や、次世代向けPRが必要だと考えていました。しかしご来場の100人くらいに直接お話をうかがうと、
「お洒落なデザインとかじゃなくていいんです。ちい恋の世界を感じるグッズがほしい」
「この昭和感を、いまの子たちに伝えてください」
とおっしゃる。20代~30代ともいっぱいお話しましたが、7割くらいの方が、「右側」のデザインを選ばれます↓
「なんかレトロでかわいい。こういうまんがって今ないですよね」
「懐かしいですね。私、生まれてなかったけど、昭和って感じが好きです」。
そうなの(・・)。そういうお嬢さんたちの中に、女子力満載系や肉食系やモード系や体育会系はおらず、若者の「平均値」ではないと思われますが、
マーケティングとか差別化とか特定層訴求とかパッケージングとかステマとかバイラルとかビッグデータとか、そんな言葉の体積ががカサカサと薄らぐのを感じます。
皆、それぞれの人生に「チッチとサリーの世界」を重ねあわせ、自分だけの純情トキメキ物語を作り、アーカイブ化し、休憩所やリセットスタンドにしている。
“ちい恋”は、そのような効能をもつ「宗教」のようなものかと、改めて思いました。
文脈はまったく違うのですが、私の小説指南・N先生がおっしゃるに、
「短期間で一世を風靡したようなエンターテインメント作品は、その作者が亡くなると作品も消えることが多い。でも核のある文学作品は、山奥の宿の棚なんかでホコリをかぶりながら、細々と生き残る…」
なんとなく、今『ジュンアイ』的な作品で叩かれ、訴訟されている男性作家を思い浮かべました。せっかく「ジュンアイ」を書かれても、なにかを急いだり、はしょったり、マーケティングしすぎると・・・。
大切に、心をこめて書いたのは、どの作家さんも同じなのにね。
“ちい恋”はもう昭和の頃のようには若い人達にたくさん売れないだろう
けれど、伝わる方に伝わればいいのではないか。生き残るぶんだけ残ればいいのではないかと、そんなことが、フに落ちたのです。(以上 早川)
ここからスタッフの青木ポンチです。
今回の展示会は、原画の点数の少なさなど、課題も残りましたが、また機会をあらためて、とくに関西方面でイベントを開催できればと考えております。
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