【怪・談和室にて】サイコ高瀬舟からハロウィンまで**

毎月、最終 土曜日に「談話室S」では『サロンde夜間学校』 というものが開かれています。
おとなになって、もう一度 国社数理英に触れ、リディスカバリーしようという試みです。

先週は、20代の鬼才国語教師&作家ジャッキー(尾崎氏)による『高瀬舟』の講義がおこなわれました。

(facebookページより イメージ画像)

よく学校でとりあげられるメジャー作品なのに私は初読だったのでした。でも短いので(文庫10ページほど)さらりと読めておもしろかった、


実際の授業風景

(1)「安楽死」と、(2)「足るを知る」という2大テーマについては、鴎外さん自身が「そこがおもしろいと思って書いた」と解説しており、扱いやすいので授業でよくとりあげられるようですが、

おとなになってから読むと、しかも、国語や小説に対してフラットな人達が集まって読むと、学校では発言できないようなさまざまな解釈があって「そう来たかっ」なのでした。

弟殺しをした罪人と、それを小舟に乗せて離島にはこぶ役人の、ボートムービー超ショート版。 なのですが、この「無実といえるかもしれない善良そうな」罪人はサイコパスじゃないか。という男の子がいました。

いいですね。私も想像してみる。「善良そうな」罪人がこの役人を殺して、また小舟で搬送されて・・・そのくりかえし。「高瀬舟 パート5」くらいまで出来そうです。『世にも奇妙な物語』のような発想ですが、

鴎外さん自身も、このぺらぺら喋る善良な罪人の話は「よく条理が立っている。殆ど条理が立ちすぎている」と、強調マークというか、傍点をふるような書き方をしている、
つまり、自分が公言したテーマ(1)(2)以外に、うがった読み方、上級者読みもできるよとチャレンジを示唆してくれているのではないかと思います。

それは・・善良とはなにか、法とはなにか、とか、権威の下で思考停止している小市民、とか、いやいやレボリューションのめばえ、とか詐欺師の教祖性、とか。

そういう人間の「もわもわ」っとしたものを書くことは、当時、新しくておもしろくてスリリングだったのだろうなあと思う。ジャッキーがくれた仮説がおもしろかったです。

芥川龍之介は、こういう鴎外作品の「もわもわっ」を追いかけてとある作品を書き、書き直し、鴎外もまたそれを意識していたのではないかという。

そういう、文豪同士のさし合いというか、水面下のもわもわレースもあったかもしれないですね。

所詮小説なんて、ブンガクなんて、そうやってふざけて読むものですよ・・・とカフカは自ら書いた『変身』をゲラゲラ笑って朗読しながらおっしゃったという。



授業後、どこか欧州の修道院で作られているという、アルコール度数60何度の薬酒をみなで飲んでみました・・・。
スプーンでちびちびっとすするだけで、脳みそがシュンッと蒸発する感じです。せっかく勉強したことが半分くらいとんじゃったよ。

一昨日は、当店にてマダムたちによるハロウィンパーティもおこなわれました。

今日は本番。代々木上原はすっかりカボチャまみれになり、1500名ぶんのこどものおやつが用意されているらしいです。いつからこんなことになったのでしょう(・・)ハロウィンてケルトの収穫祭じゃなかったの

といいながら、おやつを用意する。サイコ高瀬舟からハロウィンまで忙しい談話室Sでした。

来週の7日(金)には、文化系ドラァグクイーンのインガ・ペルセフォネーちゃんほか2人の「怪談士」をおよびし、発酵酒場「秋深し 怪談ナイト☆」を開催の予定です。

こちらはジャパニーズ収穫物(きのこ?おいも?)や、オーガニックアルコールでおもてなしします。ぞくぞくしたい方、ぜひお越しください。インガさんのすばらしい衣裳も、みどころです。


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