物欲のなくなった主婦(アーティスト)が地球をすくう

『サバイビング・プログレス--進歩の罠』の試写をみてきました。

常日ごろから、「まだ競争とか、経済成長とか言ってるのは古い。遅れてる。ゴリラ脳だよ」とうちの青木ポンチ君が言っていますが、

本当にわたしゴリラ脳かもな(・・)と思う映画でした。
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21 世紀を生き抜くための選択と人類の生存の行方を、壮大なスケールで問われるドキュメンタリーです。
監督/マーティン・スコセッシ


内容はこんな感じ。

狩猟石器時代のころから5万年以上、人類の頭脳はアップグレードされていない。

にもかかわらず、その古すぎるハードウェアで…人口増、大量消費社会、地球環境破壊など21世紀の難問題にあたろうとしている。

「生物化学」(遺伝子いじり)や宇宙開発、人工食料、人工燃料の開発などが試みられているが、

すぐに、そうした「問題解決」や「ソリューション」という思考になるのも、私達の頭脳は「獲物を倒すか/逃げるか」というような短期思考型であり、「100年後の地球はどうなる?」といった長期思考に向いていないからである。

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先進国のあらゆる現状は限界ギリギリで、マヤなど滅びる前の大文明の状態にそっくりで、今すぐに暮らしを1980年くらいにダウンサイジングさせねばいけないのに、まだ「景気回復」しなきゃ、頑張らなきゃと思ってしまうのは、

脳が石器人だからだったのですね。

ベストセラー作家のロナルド・ライトはじめ、霊長類学者、遺伝学者、元IMFチーフエコノミストなどが、そうした様々な疑問を投げっぱなしで与えてくれる映画です。考えさせられます。

映画のあと、工学博士らによるトークショーもおもしろかったのでチョットご紹介します。

--資本主義における「成熟」とは精神の成熟である。現状の資本主義はこの段階に来ていなくてはやばいのである。精神の成熟とは、知恵、叡智、文化といった「目に見えない価値が見えること」

しかし、経済学は、今ここにあるレイヤーの向こう側にあるものが見えず、目に見えないものをバッサリ切り落とす。すなわち現状の経済学は、もう21世紀の社会には適合しない。

*ダボス会議ではリーマンショック以降、「規制」を強めるか、いや「自由競争」かといった二元論ばかり。しかし、もうひとつ大きな規制を発展させるべきでないか。=「自己規制」

「はたらく」とは「傍(端)を楽にする」こと。言い換えると、まわりのいろんな人々を楽にしてあげるために「自己規制」「節約」「倫理」をもつこと。自分が5百年後の子孫のご先祖様になるということに美的感覚をもち、節制に快感を覚えること。

現代では、この感覚が「お金」にすりかえられている。これからは、お金を「美的感覚」に代えられる人が地球を支える。ボランタリ経済の到来である。

ほうほう。(・・)その美的感覚、新時代アーティストとでもいったらいいんでしょうか。

そういえば先日、フェイスブックで私の郷里の同級生がこんな書き込みをしていました。

3人の子育てをしながら農業を営むファイトお母さん、先日商品券をもって、市の中心街のデパートに行かれたそうです。

でも、欲しいものがなく、色とりどりの春物がはためくファッションフロアも素通りし、結局かぞくのために、グラタン皿などの下に敷く耐熱マットを購入するも、商品券は使いきれませんでした。

なんだかな・・・女子力が・・・と釈然としない気持ちで帰宅された40歳。

他のお友達も、わかるわかると書き込みされていました。特に子育て中の主婦のひとは、子ども物に目がいってしまって、自分は後回し。商品券など使う気がしないと。

よけいなものは要らない、楽しい時間と健康があれば幸せ、そんな自分を誇りに思う、というコメントもありました。

それらを読んでいて、なんだか美しいな。と感じました。

それは、女子力が下がったのではなく、人間としての抽象度が一段上がったのでありましょう。

私達は、これから、いかに「物欲」をすてていくかが課題なわけですが、こういうお母さんたちはアッサリとクリアしているようです。

子育て中ゆえの防衛本能・保存本能だけでなく、ヒトとして進化しているんじゃないでしょうか。
一昔前のお母さんたちはもっとモノ、を欲しがっていたように思います。今は家電も何も全部そろっているから、なのかもしれませんが・・・

地方に住むこういうお母さんたちが、いま最もまともな感覚をもっていて、エシカルで、美的感覚あるアーティストなのかもしれないって思います。

そういう方たちの作品(お子さん)もおそらく、その美的感覚を受け継いでいくのでしょうから。

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