天国へ、重版を 

北日本新聞に最新コラムを掲載していただきました。

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(c)2012 北日本新聞

(拡大クリックでお読みになれます)

シリアでなくなった、美香ちゃんこと、ジャーナリストの山本美香さんについて書きました。どのようにご両親に大事に育てられ、いかに慎重敢為な記者になられたのか。

記事の最後にも書きましたが、亡くなる直前まで「もっと著書を重版してほしい。皆さんにもっと知ってほしい。数が足りない」と訴えてらっしゃいました。

それが、彼女が天に移籍したことで、著書が注目されることになってしまいました。一部重版もかかっている様子。

私がお手伝いした『中継されなかったバグダッド』はなかなか重版されず、やはりイラク戦争という内容から、難しいかな…と思っていたら、その版元ではなく、他社の編集さんが声をかけてくれました。

美香ちゃんの願いだったので、もし再出版されることになったらうれしいです。

当初、美香ちゃんのことを新聞に書く気はありませんでした。TV取材を受けたときも失語症のようになってしまって、もう私が喋ること、書くことはないなと。

しかし、あるときから美香ちゃんの事を考えると、リベラの『生命の奇跡』が、一日何十回も頭の中に流れはじめて…。

なんだろうこれは。

あまり好きでもない音楽なのに。頭がおかしくなったのかしら。

私みたいな凡婦が美香ちゃんと交わったのは「奇跡」ということかしら。

ガンガン頭痛もして、何をしても治らない。この音楽はたしか

代理出産をテーマにした、マドンナ何とかというドラマの主題歌でした。

なんだろう。代理出産??

彼女の大事な言葉だったにもかかわらず、生前(私が勝手に)お蔵入りさせていた言葉がありました。

「世界を平和にできるのは、日本人だと思います」

優等生すぎる発言に思えてしまい、3回もコラムを書かせてもらったのに、採用しませんでした。

強迫観念を禁じ得ないというか、書くと、自分も「平和活動に関わらなければならない」ような気がして。

でも3.11以降なんだろうか、自分の考えも変わってきました。

日本はほんとうに使命をもっているんじゃないか。それが理解できないのは私の浅慮ゆえではないか。

●2千6百年以上、途絶えなく続く国体、万世一系の王朝(ということになっている)世界唯一のくに。

●四季あふれる穏健な気候。海、山、水、緑に恵まれた自然環境…気候バランスのとれた、稀有なくに。

特殊な日本語(識字率含む)と、それを基にした独自の伝統文化をもつくに。

●大陸伝来の仏教と日本土着の信仰とが共存。信仰熱意そのものは昂じなくとも、生活に浸透。宗教的・思想的対立や紛争が(近代は)少ないくに。

●モンゴロイドの食性に広く浅くマッチすると思われる日本伝統食。その食生活が健康や長寿に(かつては)響いていたくに。

●・・・という伝統文化・社会を保ちつつ、明治以降は急激な西欧化・近代化。物質文明の頂点も極めた(かつては)くに。

●この100年で本土大空襲、世界唯一のW原爆投下、三度以上の大震災を体験したにも関わらず、都度めざましく復興したゾンビも驚くくに。

●世界に類を見ない(人権に関する憲法研究でも評価される)平和憲法を堅持。戦後60年以上、直接戦争に関わっていない、アメリカによる占領統治の最大の成功例としてのくに。

↑こう並べてみると、良くも悪くも日本は驚異的ですね。

「世界を平和にできるのは、日本人」。

それは日本人が平和ボケから立ち上がれれば、の話だと思うけれど。

そういうことなの? 美香ちゃん? と思って記事を書きました。

そうしたらピタリと音楽が止みました。よかった、頭がいかれたわけではなかった。

代理出産はむりだけれど、彼女の言っていたことを人に伝えてゆくことならできる。

浅慮ぶりは世界70億人口の中で50億番目くらいかなと思う自分が、平和基準でものを考えようとしはじめたこと自体が、ひょっとして軌跡かもしれないです。

ありがとう、美香ちゃん。

ありがとうございます。

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