欲に咲く女、欲に枯れる女

微熟女です。

最近のネット&コミックカフェは、漫画だけでなく活字ベストセラーもひと通り揃っていてべんりですね。

西原先生の絵につられて、こちらを手にとったら…。

欲に咲く女、欲に枯れる女/岩井 志麻子

¥1,260

「ギャッ」と声に出して驚いてしまいました。西原先生が「しまんこちゃん」と呼ぶこの性豪先生が、『小恋』について触れていたのです。

<以下抜粋>(……部分、私の省略)

小さな残酷物語

『小さな恋の物語』は誰もが認める名作です。私がコミックス全巻持っている、というのは本当は極秘にしたいほどの。
優しくって微笑ましくって、乙女にとっての永遠のバイブルといっても過言ではございません。でもこれね、凄く罪作りでもあると思うわけです。

愛読者の夢見る乙女たちは、おおむね同じことを思うのではないでしょうか。

「チッチでもいけるんなら、私でもいける」って。

こうして乙女の、いや、女の競争心を煽っちゃったわけですね。この物語のせいで一体何人の己知らずが勇猛果敢に王子様に告白しては、とんだ恥をさらしてきたことか。

……かわいそうなのはチッチも同じなんですから。だって自分の存在が結果としてライバルを増殖させてしまっているんですからね。『小さな残酷物語』と改題したほうがいいんじゃないかと思うほどですよ。

先生の怪弁、止まりません。引用はここまでにしますが、私は心底驚きました。

ウィキペディアも怪談化している志麻子先生が…心の中に、そんな純情オトメを飼っておられたなんて。


この本は、私的にひとことで言えば、あの、拘留中の木嶋佳苗嬢に準じるような女性を100人集めたキテレツ考察百科。

「BUSUなのに勘違いしている女」などに対し「そこまで言わなくても…」的な剥き出しの嫌悪発言を繰り返す志麻子先生です。
しかしその心の片すみに、1粒のじんたんのように香る乙女コンプレックスの残滓。

そうだったのかー、キュン。根っからの怪物だったら、こんな恐ろしい本は書けないのかも…。と作家的思考構造の妙をみる思いになりました↓

ぼっけえ、きょうてえ/岩井 志麻子

本当に怖かった…これ。もう二度と読みたくないです。


チッチの健気なアタックぶりに、現実の乙女の「己知らず」ぶりを重ねて「残酷だ」と感じる繊細な乙女心に、私は志麻子先生の作家性を感じます。

私は、小学生で『小恋』と出会った幼さもあったでしょうが、その後も、恋愛物語に現実を投影して同性を敵視、滑稽視することはできなかった。いわばある種のコンプレックスの足りなさに、コンプレックスを感じます。

このくらい「痛く」ないと物の怪、じゃない、物書きにはなれないのねー。


ところで、以前、「媚薬ナイト」という訳のわからないイベントに潜入してきたポンチ君は、志麻子先生の毒気に当てられて、ふらふらで戻ってきたことがあります。

一番の名言はこちらだったそうです。

「韓国人は強いけど情緒がない。“コニチハー、はいドッドッドッ”ってドリルみたいだよ! 

その点、日本人はパワーはないけど情緒がある。私は“一人日本軍”として世界じゅうの男に戦いを挑んできたけど、やっぱり日本の男が一番いいよ!」

岩井志麻子

↓そんな女軍曹・志麻子ちゃんを癒してきたバイブル。たぶん全ての女性作家のバイブル。

小さな恋のものがたり(全10巻) 図書館版

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おごるかも

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