スタッフの青木ポンチです。
若者のテレビ離れが叫ばれつつも、『マルモのおきて』『家政婦のミタ』など新たなヒットも生まれたドラマ界。
勝手に僕の心に残った3本をあげてみます。
3)下流の宴
原作・林真理子、脚本・中園ミホ。
アンチ真理子派からは、階層意識プンプンの嫌味な物語…と捉えられるかもしれませんが、その視点は上流にも下流にも、どちらにも汲みしません。
「ザ・下流」の典型だった少女(美波があっけらかんと好演)が、己の情熱と才覚に目覚め、階級を超えたサクセスをつかんでいく、爽快な物語です。その相方の「元上流・現下流」の少年は、優しすぎる性格に従い、下流でまったりと生きていきます。
階層意識バリバリの親世代代表・黒木瞳のみが、下流に堕した息子にワナワナと打ち震える、その“わななき演技”も見ものです。
軽妙な中園ミホ脚本と役者陣のメリハリある演技で、楽しめました。
2)カレ、夫、男友達
原作・江國香織、脚本・浅野妙子。
木村多江、真木よう子、夏帆演じる三姉妹が、三者三様でリアル。
酷いDVを受けるのを承知で、夫との依存関係から抜け出せない長女・木村。大好きな彼のプロポーズを断り、気分の赴くのままに別の男と一夜を共にするフリーダムな次女・真木。恋愛に不感な“不思議ちゃん”のファザコン三女・夏帆。
役者もそれぞれの持ち味を存分に出してましたが、特筆は夏帆とユースケ・サンタマリア。夏帆がこんなに不思議系の役柄にハマるとは。
そしてユースケ、これはもう佐野史郎=冬彦に匹敵する病的キャラなのは、こちらの写真を見ただけで一目瞭然でしょう。
1)それでも、生きてゆく
坂元裕二によるオリジナル脚本。
脚本・演出・演技…すべてが完璧で穴がない、奇跡のようなドラマ。昨年の『Mother』でブレイクした坂元氏は、いま最も乗ってる脚本家であることは間違いありません。
一番の功労者は、加害少年の妹役の満島ひかり。過剰でなく抑制すぎることもない、ナチュラルすぎる演技に心が揺さぶられます。
被害少女の母を演じた大竹しのぶの怪演の陰に隠れがちですが、時任三郎・風吹ジュン演じる加害少年の父母の、感情を押し殺した芝居も心に染みました。加害少年役の風間俊介も、心の無いたたずまいが不安を駆られます。
また、加害少年が身を潜める果樹園で働く佐藤江梨子や安藤サクラ。そして1話だけ登場の酒井若菜など、端役一人一人にまで血肉が通っています。
↑ネットで話題騒然だった、果樹園の娘役・サトエリの意味無く乳ゆれシーン
今の民放さんでも、こんな良質で良心的な連続ドラマを作れる。---それがわかっただけでも、2011年の収穫でした。
【さらに楽しまれたい方は、押してくれたら1杯】
おごるかも
編集・ライター・書店員
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