こんにちは微熟女です。
今日は美容や健康のために漢方に興味をもつ美女の皆さんに、おもしろい小説をご紹介したいと思います。
作者はこちらに続きすばる文学賞作家・中島たい子さん。「あけすけ泣き笑いユニセックス文体」とでもいいましょうか、かなりクセのある文体です。
糸山秋子さんのような文体が好きな方なら、きっとお好きじゃないでしょうか。日記もザバザバしたべらんめえ口調ですねこの人は。→糸山秋子氏日記
『漢方小説』の冒頭シーンは、31歳・脚本家の「私」が元カレと飲んでいる最中に別の女性と結婚すると告げられ、その夜に体調が急変! 救急車で運ばれるところから始まります。
私はセルフ・ロデオマシーンになっていた。突如として体が暴れだし、自らの生みだす振動にかれこれ小一時間はガタガタとふりまわされていた。マシーンの回転数はますます上がり、いっそ振り落として欲しかったが、乗ってるのも暴れてるのも自分だから降りようがない。
セルフ・ロデオって( ´,_ゝ`) プッ
この描写は自律神経失調症か、パニック障害みたいな感じかなーと思うのですが、31歳といえば女の厄年。ホルモンの不安定で20代にはなかった不定愁訴が出る頃です。
私も同じ年頃にウツになりまして、「体じゅうが重くて重くて、超合金の全身スーツを着させられた感じなんだよお」とベソをかいては友人に失笑されていましたが、やっぱりすばる作家の表現はレベルが段違いです。
—-主人公のもとに駆けつけた救急隊員は「えー、三十一歳の女性」と無線で搬送先に伝えたあと、「いつからどのように胃の具合が悪いのですか?」と聞きます。
そこから先の「私」のひとり言が、また妙味です。
私は「えー、三十一歳の女性」で、結婚どころか最近はつきあっている人もいなくて、(一緒にいた)彼は何年か前に私と結婚したいと言ってくれたんです。
このような時に顔をひきつらせて「おめでとう」と言える人はまだ余裕がある方で、私の場合、彼の後ろに張ってある『初がつおカルパッチョ風七百五十円』のお品書きを見つめ、店を出るまで三百万回くらいそれを読みました。なので会計をしめてもらう時、店員に「おあいチョ」と言ってました。
「おあいチョ」って。
笑わされるのに、なぜかほんのり目頭がうるむ。こうしたトホホ物語がお好きな方にもおすすめです。
おトクなことに、本書には付録として陰陽五行説にもとづく五芒星の図(?)がつけられています。
ストーリー中のさりげない解説によると、私(微熟女)はどうやら「腎」が弱いような…だから年がら年じゅう物事にビビっているのかな、などと腑に落ちる部分が多々。主人公「私」とともに、しなやかに生きていく漢方精神にめざめます。
「漢方とは何か」フィクション仕立てでゲラゲラ笑わせつつ、実用知識を吸収させてしまう筆力がとにかくうまいです。
美容健康本や漢方解説本などはごまんとありますが、ただの実用ノウハウ本じゃあ芸がないかも?
「胃の腑にじわじわ届いて、読後は不調が良くなるみたい」……と45件のアマゾンレビュワー達も絶賛。「おとなのための 読む漢方」に仕上がっております^^
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おごるかも
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